オススメ度:★★★★★
調理時間:角煮40分→冷却2時間→カレー1時間半→熟成2~3日間→仕上げ20分
解説:ビーフカレーの豚肉版といったところです。
とにかく肉! 肉を食べたい! という時には最適です。
また、肩ロースはとても安いのでビーフカレーよりもお得感が大きいです(笑)。
所見:豚の角煮にひと手間かけている以外には、基本的にポークカレーと同じです。
圧力鍋が必要ですが、難易度は高くはないので誰にでも安心してオススメできるカレーです。
反省点:豚肉の角煮の味に、もっと個性を出す工夫をしたいところです。
今の時点でも充分に美味しいとは思いますが、その一方で「ポークカレーのポークが大きくなっただけ」感があるのも事実です。
角煮の仕込みの時点で、白ワインまたは日本酒などを加えるなど、もう少し工夫すると良いかも知れません。
「蕩ける牛肉」はビーフカレーの最大の楽しみと言えるでしょう。
同じような肉の快感をポークカレーでも味わえないものかと考えて作ったのが、この角煮カレーです。
途中までは角煮とまったく同じように豚肉を下茹でして、味を染み込ませる段階からカレー味を付けていくと言った要領です。
前回がこってりカレーだったので今回はサッパリ系で行こうと思っていたのですが、家族からのリクエストがあり、急遽これになりました。
まずはレシピから。
◆基本カレー具材(6人分、最低これだけあればカレーにはなります。これだけでは寂しいですけどね)
・カレー粉(
こちらのエントリで紹介したもの):40~46グラム
・塩:14グラム+仕上げ時に微調整
・にんにく:大1/2個
・すりおろし生姜:小さじ1
・ラード(チューブ):8~10cm(オリーブオイル大さじ5で代用可)
◆追加カレー具材(必須ではありませんが、あるとより美味しくなります)
・スタータースパイス(クローブ、ローレル、コリアンダー、オールスパイス):それぞれ少々
・冷凍玉葱(アメタマ用みじん切り):1個分
・ローレル(煮込み用。肉なしなら不要です):4枚
◆スープ(この辺りはお好みでどうぞ)
・カットトマト缶詰:50~400cc(200cc辺りからトマト味が強くなります)
・水:0~350cc(上記トマト缶詰との合計が400ccになるように調節します)
・鶏がらスープ(冷凍1cm角):4ブロック
・赤ワイン:50cc
・コーヒー:200cc
・ギー(インド発酵バター):大さじ2
・マンゴチャツネ:小さじ1
◆野菜(いつも使ってるものでどうぞ)
・玉葱:1個
・人参:1本
・エリンギ(2~3本入り):1パック
・ひよこ豆水煮缶詰(100グラム):1缶
◆肉その他(今回のカレーで使う特徴的な具材です)
・豚肩ロース(ブロック):950グラム
・にんにく(下茹で用):大1個
・生姜(下茹で用):上記にんにくと同程度。30グラムくらい?
・塩:小さじ1/3から1/2程度
調理準備。
この部分はテンプレなので画像および文章を使いまわします。
カレー粉をメインスパイスと仕上げ用スパイスに分けておきます。
仕上げスパイスは10グラム前後、残りをメインスパイスに。
塩もこの段階で計って用意しておくと、後でバタバタしないで済みます。
右下のスパイスは後述するテンパリング用のスタータースパイスです。ローレル二枚分、クローブ、コリアンダー、オールスパイスをそれぞれひとつまみ。
それでは調理開始です。
材料だけを見ると、つまらないくらいに普通のポークカレーですが、肉はドーンと950グラム。
今回は1900グラムの冷凍肉を買ってあったので、母親が角煮(カレーではなく普通の)を作るための分を兼ねて、まとめて一気に下茹でします。
業務スーパーで買っておいたデンマーク豚の肩ロース。
100グラムあたり税込み78円。肩ロースは安価で大量に買えるので嬉しいですね。
冷凍庫から冷蔵庫に移して、一日かけてじっくり解凍しておいたものを角煮サイズ(数センチ角)に切ります。
このうちの一つを細切れにしてカレーの下味用に使うので、小皿にでも分けておきましょう。これは小さめのもので構いません。
キッチンナイフを使って切ったので、大変な作業になりました(笑)
もう一つ大きな包丁も無いでもないのですが、やはりこういった慣れない作業には、手に馴染んだものが一番安全かなと。
これを、全部圧力鍋に入れて、水をたっぷりと。
下茹での水量は、「肉の総量と同量」が基本です。肉2キロなら水は2リットルと言った感じです。
「水ではなく、米のとぎ汁を使うことで肉の柔らかさが増す」という話をしばしば聞きますが、今のところ、ただの水でも充分すぎるほどに柔らかくなってます。
肉のトロットロ具合にこだわるなら、試してみるのも良いかもしれませんね。
にんにく(下茹で用)と生姜(下茹で用)をスライスして全部放り込みます。
蓋をして火にかけます。
最初は強火~中火、蒸気の噴出が始まったら弱火に変えます。
タイマーセット。下茹での時間は肉の量に関わらず20分です。
また、下茹では予熱を利用するとより柔らかく出来るそうなので、火を止めたあとも蒸気抜きをせず、完全に自然冷却で行うのが良いようです。
2、3時間はかかるのでしばらく角煮は忘れて、この間にカレーのほうを作ります。
野菜およびさっき小皿に分けた肩ロースの欠片を切ります。
今回は人参はサイコロ大、玉葱はザク切り、エリンギは輪切り、にんにくのみみじん切りです。
肉は細切れにしましょう。
この肉はカレーの下味つけでもありますが、角煮カレーの場合「角煮を食べてしまうと、具が野菜のみ」という寂しいことになるため、「角煮を食べたあとにも最低限の肉が残るようにしておく」という意図があります。
スープを作ります。
カットトマト缶詰、水、鶏がらスープ、赤ワイン、コーヒー、ギー(インド発酵バター)、マンゴチャツネ、すりおろし生姜、そして後述するアメタマの副産物である玉葱の絞り汁を一つのボウルに入れて軽く混ぜておきます。
前回はもう少し細かく段階を追っていたのですが、今回はこの時点でギー(インド発酵バター)とマンゴチャツネ、すりおろし生姜などを入れてしまいました。
みじん切りにんにくもこの段階で入れてしまってもいいかも知れませんね。
本日二度目の点火をします。圧力鍋は横に避けておいてください。
テンパリングで油に香りをつけ、その後アメタマを作ります。
この作業に関してはテンプレなので、
こちらのエントリをどうぞ。(別窓で開きます)
アメタマが出来たら、テンパリングで作ったスパイス油を入れて、細切れ肉と野菜を炒めます。
順番は、肉→硬い野菜(ここでは人参)→柔らかい野菜(ここでは玉葱エリンギひよこ豆)の順番です。
人参は柔らかくするというよりも、油をしっかり絡めて熱くする程度で構いません。
焦がさないことを最重要として、鍋の底をさらいながら火を通していきます。
玉葱がしんなりしてきたら、スープ投入。
肉や野菜に火が通ってくると柔らかくなり、全体の量が減ったように見えてきますので、そのあたりを目安にしても良いでしょう。
ひと煮立ちさせます。
にんにく投入。
ここで水を加えて全体量を調節しつつ、ひと煮立ちさせます。
水加減については、
こちらのエントリで説明しています。(別窓で開きます)
カレー粉およびローレル投入。
トマトスープがカレーに転生します。
弱火にして、煮込みモードに入ります。
キッチンタイマーをセット、皿などを洗いながら4分おきにかき回します。
焦げ付かないように、鍋の底をさらう感じで。
4分おきにかき回すのを7~8セット繰り返すころには、玉葱は完全に透明になっています。
さて、一応ポークカレー(肉少なめ)は出来ましたが、本番はここからです。
……が、さっきの圧力鍋はまだ熱いと思うので、さらに1、2時間放置しましょう。
圧力が落ちてロックが外れたら(ほとんどの圧力鍋には目安になるロックがあり、圧力が下がらないと蓋が開かないようになっています)、蓋を開けてみましょう。
ここで出る大量のスープも使い道はあると思いますが、今のところ、あまり有効な使い道を見つけ出せてはいません。
このスープをそのままカレーに入れるとヘット(豚の背脂です)が多すぎて油ギトギトカレーになってしまうのです。
ちなみに、私の経験では、仕上げにはヘットではなくラード(牛の背脂です)を使ったほうが、より味がまろやかに馴染むように思います。
このスープを冷やすと脂質が上の方で固形化するので、それを取り除いた肉汁を入れるのもいいかも知れませんが、手間と場所の問題でまだ試してはいません。
ペットボトルを利用すると(逆さにして冷蔵庫に入れる→蓋のほうに肉汁が貯まる、とか)上手く行くかも知れませんね。そのうちやってみようと思います。
ともあれ、今回はスープはばっさりと捨てます。
こんな感じで茹で上がっています。
これは1900グラム分(実際にはずっと軽くなっています)なので、半分はごく普通の角煮にしてもらうために母親にバトンタッチ。
残りの半分をカレー味に仕込む事になります。
ここからは小さい圧力鍋(多分2リットルくらい?)を使います。
肉を敷き詰め、さっき作ったカレーから出来るだけ具が入らぬようにスープのみを300ccほど入れ、更に水を300ccほど混ぜます。
水を混ぜるのは、カレーのとろみが圧力鍋と相性が良くないために薄める必要があるのです。
更に、ここで塩を少し強めに効かせます。小さじ1/3から1/2くらいでしょうか。
結構玉葱とか人参とかが混ざっちゃってますが、あまり気にせずに(笑)
塩を効かせるのは、そのままでは実際にカレーと一緒に食べると、味がぼんやりしてしまうからです。
上手く言い難いですが、塩なしでは「角煮カレー」というより「大きい豚肉が入ってるカレー」といった味になってしまうのです。
ここは角煮に個性というかパンチを効かせるために、味はしっかりめに付けてあげましょう。
ここで酒とかワインとか、角煮カレーに合う個性的な調味を研究するのも楽しそうですね。
ここでは圧力鍋は7分程度で十分です。最初だけは強火~中火、蒸気を吹き始めたら弱火で。
予熱は利用しないので、自然冷却なしで蒸気を抜いてしまって構いません。
この時点でも充分におかずになりそうですが(笑)、肉はすべてカレーに入れます。
注意点としては、圧力鍋に残ったカレースープは捨ててください。混入してしまった玉葱などの具くらいは戻しても問題ありませんが、スープまでカレーに戻してしまうと、塩がきつくなりすぎます。
これで軽くひと煮立ちさせ、寝かせモードに入ります。
夏場は傷まないように細心の注意を。
カレーに繁殖する細菌が好む温度は40度前後だそうです。暑い季節には決して常温では保存しないでください。
可能であれば、冷蔵庫に入れておくことを強くオススメします。
とはいえ、実のところ私は冷蔵庫も100パーセントは信用していません。
特に夏場は一日に一度、最低でも二日に一度は火を通して煮立たせています。
So three days ago...
肉がゴロゴロ過ぎて、調理が難しいことに(笑)
仕方ないので、いったん肉をはずして、カレーの味を調整します。
仕上げスパイスとラードを入れて、塩で味を整えます。
塩加減については、
こちらのエントリで説明しています。(別窓で開きます)
味が整ったら改めて肉を投入、冷えて硬くなってる肉を緩める意味も兼ねて、4分間x3セット煮込みました。
完成しました。
前回は盛り付けの写真を撮り忘れていたので、今回は忘れずにパチリ。
豚肉ホロホロ、脂身もトロットロです。
課題としては、角煮に塩を利かせているにもかかわらず、やはりまだ「ポークカレーのポークが大きくなっただけ」感が払拭しきれませんね。
工夫次第で、まだまだ美味しくできそうです。
とりあえず次にこれを作る時には、圧力鍋で味を染み込ませる際に、白ワインか日本酒などを混ぜてみようと思います。