まずは、すべての元となるカレー粉について。
この植物の種。これがクミンと呼ばれるカレーの基本スパイスです。
一般的な日本人が「カレー」と認識している、いわゆる「カレー風味」はその大半がこれに依存していると考えて良いでしょう。
この他に何種類かのスパイスを混合するわけですが、日本人が期待するようなカレー味に近づけたいのであれば、調合スパイスのうち50~60パーセントはクミンにしたほうが無難と思われます。
エスニック&エキゾチックな味を出したいと考えるのであれば、クミン比率を減らすことで「日本人の考えるカレー」から離れていきます。
クミンを電動コーヒーミルなどで粉状にすると、このようになります。
ミルにかける前にフライパンなどで軽く水気を飛ばしておくと、出来上がった粉がベタつかず、扱いやすくなります。
なお、スパイスはパウダー状でも売られており、大抵の場合、そちらのほうがきめ細かい粉になっています。
私はホールから挽いてパウダーにする工程が好きなのと、あと
テンパリング(←別窓で開きます)にも使えるのでホールを好んでいますが、もちろんパウダーを購入してもまったく問題はありません。
いずれも、業務スーパーなどを探すと比較的安価に手に入れることができます。
小瓶で売っている10~30グラムのものよりも、袋で売っている100グラム単位のものをオススメします。
同じ要領で粉にした各種スパイスを規定の比率で混合します。
混合前のカラフルなスパイスは、こうして眺めるだけでワクワクして来ますね。
ちなみに、中央がカイエンペッパー、上がコリアンダー、時計回りにフェネグリーク、オールスパイス、フェネルシード、ターメリック、クミン、カルダモンです。
スパイス配分は以下のようになっています。
基本スパイス
・クミン:50パーセント(40グラム)
・コリアンダー:15パーセント(12グラム)
・ターメリック:15パーセント(12グラム)
・オールスパイス:10パーセント(8グラム)
・カルダモン:10パーセント(8グラム)
合計:80グラム
まずは「間違いなく美味しい」と思える配分を基本スパイスとして作ります。
この時点ではまだカイエンペッパーを計算に入れていません。
カイエンペッパーは基本スパイスとは別計算で、辛さの好みに応じて調節することになります。
20グラムで中辛~やや辛口といったところでしょうか。
追加スパイス
・カイエンペッパー:20グラム
合計:105グラム
ちなみに、スパイス比率はエクセルで管理し、目的の総スパイス量に合わせて配分が計算できるようにしてあります。
これをよく振って混ぜあわせ、カビ防止に乾燥剤を放り込めば完成ですが、できれば数日程度放置したいところです。
スパイスはお互いに味や成分を吸収しあうため、混ぜた状態で放置することで味が馴染み、安定するのです。
ちなみに、スパイス使用量は6人前を一単位として40グラム程度(カイエンペッパー追加済み)です。
我が家は家族三人構成なので、夕食と翌朝の二食分、合計で6人前というわけですね
更にこの40グラムに対し、試験的に使ってみたいスパイスを加えることで完成となります。
例えばフェネグリークを試してみたいときには、
上記40グラム+フェネグリーク4グラム=合計44グラム
このようなスパイス構成となります。
参考までに、これまでに試した追加スパイスの所見を。
上記基本スパイスに下記スパイス4グラムを追加することで味の変化を試しています。
あくまでも私個人の感じた所見ですので、個人差によって感じ方は変わる可能性はあります。この点はご理解ください。
ここは試すごとに随時追加更新していく予定です。
・フェネグリーク
味がまろやかになり、子供にも食べやすいカレーになります。
その半面、各スパイスの個性が消える傾向にあり、スパイス感を楽しむのには向いていません。
・コリアンダー
柑橘系に近い爽やかさが増します。
トマトやりんごジュースなどの酸っぱい系素材と相性が良く、夏向きの爽やかカレーに向いています。
・クローブ
単体ではやたらにクスリっぽい香りが鼻につきます。
カレーに入れると、酸っぱさをやけに強調してしまい、しかも飲み込んだ後に奇妙な甘さとなって喉の奥に絡みつく気がします。
これを使う際には、4グラム(10パーセント)ではキツイかもしれません。
・シナモン
ふんわりと甘い芳香が特徴で、これを混ぜることでホテルで出されるような高級感を演出できます。
また、ビーフカレーときわめて相性が良く、牛肉をとても美味しく引き立ててくれます。
・ナツメグ
他のスパイスの特徴を際立たせ、尖らせる効果を持っているように感じます。
「いかにもスパイスカレー!」と言った鮮烈なスパイス感のカレーを作りたい時に入れると良いようです。
飲み込んだあとに、若干ながらフルーツっぽい爽やかさが後味として残るのも特徴です。
試験的に混ぜて良い結果が出たスパイスは、レギュラーとして基本スパイスに加え、改めて配分を考え、ちょっとずつ改善を重ねて究極のカレー粉を目指すわけです。
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