オススメ度:★★★★☆
調理時間:1時間半→熟成1日→仕上げ10分
解説:最近は専門店も増えてきたので食べる機会も多くなってきたタイカレーです。
材料さえ集まれば、とても手軽に作れて味付けの失敗もしにくいので、おそらく難易度はかなり低いと思われます。
所見:プリックキーヌー(タイの青唐辛子)、ホムデン(タイの赤玉葱)、カピ(タイのエビの塩漬けペースト)、生レモングラス、バイマックルー(こぶみかんの葉)、この辺りの調達をどうするかがポイントですね。
ホムデンの代わりに普通の玉ねぎを使うレシピも見かけます。
プリックキーヌーはとんでもなく辛いものなので、扱いも慎重に。一本増やすだけでドカンと辛くなります。
反省点:以前プリックキーヌーを15本いれたら辛くなりすぎたので、今回は12本にしたのですが、これでもやっぱりかなりの辛口でした。
10本くらいで充分かもしれません。
あと、パプリカを入れ忘れて、後から慌てて投入することに。材料を変えた時は要注意ですね。
今回はほうれん草カレーでも作るかと思っていたのですが、隠し味に使うイカスミの良質なものがもうすぐ手に入りそうなので、ほうれん草カレーはそれが届いた後に作ることにして、今回は趣向を変えてタイカレーとなりました。
特徴は何と言ってもココナッツミルクです。ピリ辛なので「カレー」にカテゴライズされていますが、実際にはカレーというよりも「ピリ辛ココナッツ煮込み」と言ったほうが正確です。
本場のものはしばしばタケノコの細切りを入れていますが、別に入れなくてもまったく遜色ない味になります。それどころか、具材は普段のカレーで使っているものでまったく問題はありません。(ジャガイモくらいは避けたほうが良いかも……)
あと、今回から赤パプリカがレギュラー野菜に加わることになりました。
父親がすこぶる良い噂を聞いたとかで、しばらくは試してみることになりそうです。
それではレシピからどうぞ。
◆タイカレーペースト
・プリックキーヌー(タイの青唐辛子):10~12本
・ホムデン(タイの赤玉葱):30グラム
・生姜:10グラム
・レモングラス(生):25グラム
・ニンニク:30グラム
・ナツメグ:1個(およそ4グラム)
・クミン:6グラム
・コリアンダー:6グラム
・ブラックペッパー:2.5グラム
◆スープ
・塩:12グラム+仕上げ時に微調整
・カピ(タイのエビの塩辛ペースト):10グラム
・ココナッツミルク(400cc):1缶
・鶏がらスープ(冷凍1cm角):4ブロック
・バイマックルー(こぶみかんの葉):数枚
・ラード(チューブ):8~10cm(オリーブオイル大さじ5で代用可)
◆肉・野菜などの具材
・鶏もも肉(およそ300グラム):1枚
・玉葱:1個
・人参:1本
・エリンギ(2~3本入り):1パック
・ひよこ豆水煮缶詰(100グラム):1缶
・赤パプリカ:1/2個
今回は食材がいつもと全然違うので、ひと通り解説していきます。
カレー粉はいつものは使いません。
タイカレー用にクミン、コリアンダー、ブラックペッパー、ナツメグを用意しています。
写真左の青唐辛子がプリックキーヌーですが、これは日本の獅子唐辛子や伏見唐辛子とは完全に別種です。代用はできませんのでご注意を。
普通の唐辛子よりも飛び抜けて辛く、軽はずみに混ぜ過ぎると本当に食べられなくなるので、慎重に取り扱うことをオススメします。
次に写真右下の赤い小ぶりな玉葱。これがホムデンです。玉葱というよりも西洋のエシャロットに近い品種だそうで、実際にホムデンとエシャロットを混同して取り扱っている店も多いくらいです。
写真右上の細いのがレモングラス。乾燥しているものではなく、生のものです。
椿っぽい葉っぱがバイマックルー。こぶみかんの葉っぱで、カレーにおけるローレルのように香りつけに使います。
これがカピ。タイ料理では非常に頻繁に使われる、エビの塩辛ペーストです。
醗酵しているためとんでもなく臭いので、使わない時は容器ごとジップロックに入れて、冷蔵庫の最下段に封印しています。
どれも、アジアンマーケットが近くにあれば簡単に手に入ります。
近場にこういったものを扱う店を一軒でも見つけておくと何かと便利なので、探してみるのも一興かと。
私も材料調達はもちろん、タイカレーの作り方などでも随分とお世話になっています(笑)
それでは始めましょう。
タイカレーペーストを作ります。
作り方は至って簡単。
プリックキーヌー、ホムデン、生姜、レモングラス、ニンニクをザクザクに切って、ナツメグ、クミン、コリアンダー、ブラックペッパーを混ぜて、若干の水を加えつつミキサーでガーッとやるだけです。
これがタイカレーペーストです。
ペーストを大量に作って、この状態で冷凍保存するという話もしばしば耳にしますね。
人によってレシピも違うようで、この時点でココナッツミルクやカピを入れる人もいます。
私は、カピをミキサーにかけると後始末が大変になるので、ここでは入れずにスープに混ぜて使ってます。
スープを作ります。
さっきのタイカレーペーストにココナッツミルク、鶏がらスープ、カピ(お湯で緩めたもの。超臭い)、塩を入れて、よくかき混ぜておきます。
野菜と鶏もも肉を切ります。
人参はサイコロ大、玉葱はザク切り、エリンギは輪切り。
※写真にはありませんが、赤パプリカもここで切っておきましょう。
鶏もも肉はひと口サイズ、皮や脂身は出来るだけ残してます。
ちなみに、今回はにんにくはすべてペーストに入れてあります。
点火。
今回はテンパリングもアメタマもなしです。
テンパリングすると、タイカレーのいかにもと言った香りがむしろ弱まってしまう気がします。スタータースパイスをきちんと選べば良いのかもしれませんが……。
アメタマも、グリーンカレーなのに茶色っぽくなってしまうのがいかにも残念なので、外してます。
オリーブオイル(なければ食用油)を入れて、鶏もも肉と野菜を炒めます。
順番は、鶏もも肉→硬い野菜(ここでは人参)→柔らかい野菜(ここでは玉葱エリンギひよこ豆パプリカ)の順番です。
※写真にパプリカがありませんが、単純に入れ忘れです。ここで入れてください。
鶏もも肉は必ず皮目から。
人参は柔らかくするというよりも、油をしっかり絡めて熱くする程度で構いません。
焦がさないことを最重要として、鍋の底をさらいながら火を通していきます。
玉葱がしんなりしてきたら、スープとバイマックルーを投入。
肉や野菜に火が通ってくると柔らかくなり、全体の量が減ったように見えてきますので、そのあたりを目安にしても良いでしょう。
ひと煮立ちしたら、水を加えて全体量を調節しつつ、再び煮立たせます。
水加減については、普通のカレーと変わりません。
こちらのエントリを参考にしてください。(別窓で開きます)
ここでようやくパプリカの入れ忘れに気づきました。
いつもの材料だけで安心してたら、赤パプリカがテーブルの上に鎮座しているのを見て卒倒しそうに。
慌ててザク切りにして炒めて放り込みました(汗)
弱火にして、煮込みモードに入ります。
キッチンタイマーをセット、皿などを洗いながら4分おきにかき回します。
焦げ付かないように、鍋の底をさらう感じで。
途中から、だんだんタイカレー特有の香りが立ち込めてきます。
4分おきにかき回すのを7~8セット繰り返すころには、玉葱は完全に透明になっています。
タイカレーの熟成は一日で充分です。
おそらく熟成などさせずにそのまま食べても充分美味しいとは思いますが、一日待つと鶏肉がとんでもなく柔らかくなるので、私は必ず一日は待ちます。
どうやら、ココナッツミルクにはものすごい統合力が備わっているようで、大抵の食材を強引とも言えるほどに統合して、味をまとめてしまいます。
これを発見したタイ人はすごいですね。
最後にラードを投入、塩を微調整して完成です。
塩の加減も基本的には普通のカレーと同じです。
こちらのエントリ(別窓で開きます)を参考にしてくださって結構ですが、タイカレーの場合、塩が控えめでもかなり美味しく食べられます。
いつもよりは塩を少なめで攻めてみるとちょうどよくなると思われます。
完成です。
具材はいつも通りなのに、味も香りも完璧なタイカレーです。
鶏もも肉がホロホロに柔らかくなってます。いつものカレーではこうはいきません。
きっとタイ人の昔からの知恵で、ココナッツミルクによる何かしらの化学反応を利用しているのでしょう。
ココナッツミルクには、味の統合だけでなく色々と秘密がありそうですね。
PR